Stereolab繋がりで見つけたThe High Llamas(ハイ・ラマズ)にどハマり中です。
凝っているけど奇をてらい過ぎない心地良いコード進行。
ビーチボーイズやスティーリー・ダン(初期)を彷彿とさせるアレンジ。
ときにバンジョーとエレクトロニカを組み合わせたりするセンスも非常に面白いです。
何しろ大好物のボサノバ的なコード進行が満載で、コード進行フェチにはたまりません!
90年代にロンドンで結成されたバンドですが全く知らなかったので調べてみました。
まずバンド名の由来について。元々は中心メンバーであるアイルランド系のシンガー・ソングライター、ショーン・オヘイガンの1990年のソロアルバムのタイトルが『High Llamas』。
Llamasは動物のラマかと思いきや、雑誌で見かけたヴィクトリア朝時代の熱気球の絵から取られたそうです。
そのアルバムはたしかに気球のイラストなのですが、今のところはオフィシャルでは配信されていないようです。
ネットで探して聴いてみたところ、このソロアルバムではまだ独特のスタイルが確立されておらず、やや平凡な印象。
92年のハイ・ラマズとしてのファーストアルバム『Santa Barbara』もちょっとスティーリー・ダンの『Rose Darling』を連想させる『Period Music』のような佳曲はあるものの、比較的普通で、やはりステレオラブに参加した前後で作風が変化したようです。
それ以前の時期についてオヘイガンは「自分たちの演っていたことに満足はしていたものの、特筆すべきものでもなければ自分が好んで聴くようなものでもなかったんだ」と述懐しています。
ステレオラブのティム・ゲインとの出会いによって、オヘイガンが好むビーチ・ボーイズやエンニオ・モリコーネ、アントニオ・カルロス・ジョビン、そして前衛電子音楽等が作風に強く影響するようになりました。
90年代半ばにはブライアン・ウィルソンとのコラボレーションの話が持ち上がりますが、実現には至りませんでした。
後に98年のアルバム『Cold and Bouncy』に収録されたいくつかの楽曲は、ビーチ・ボーイズとしての録音が検討されたものだそうです。もし実現していたら、ハイ・ラマズの評価やその後も違ったものになっていたことでしょう。
歌詞はよくわからないので聞き流しがちなのですが、それでも特徴として気づくのが、ラブソングが無いことです。
ほとんどが場所、移動や乗り物など、旅を想起させるような情景描写や人物描写ばかりで、ストレートなラブソングは見当たりません。
これはショーン・オヘイガンが敬愛するヴァン・ダイク・パークスの影響なのでしょうか。
遠回しな表現のラブソングはあるのかもしれませんが、自分の英語力ではわかりませんでした。
どうして世の中の歌の大半はラブソングなのか?と憤っていた子供だった身には、もうそれだけでポイント高いです!
ただ、映像的ではあっても感情移入するような歌詞ではないので、もしかしたらその辺りが内容の割に評価が低いというか、ブレークしなかった所以なのかもしれませんが。
このところ一日中The High Llamasと、その中心人物Sean O’Haganの曲をSpotifyで流しているせいで、家族も脳内ループになっている模様です。
何しろ耳障りな曲が一切無いのでBGMにも凄くいいのです。
聴いていないときはイヤーワーム現象で頭の中で鳴り続けるので、お風呂にもスピーカーを持ち込んで流しています。
毎日全アルバムを通しで聴くようになって早三ヶ月ですが飽きません。
こんなふうに朝から晩まで聴き続けるなんて、子供の頃以来なかった気がします。
こんなにドンピシャな好みのバンドを今になって発見できた喜びが大きくて。
音楽を発見しやすい時代になったことに感謝です。