3ヶ月ほど前、オリンピック/パラリンピックを迎えるパリ市のバリアフリーに関する取材の依頼がありました。
たいして語れることはないなりに思うところをひと通り下記のメールに書いて返信し、それで済むだろうと思いきや、意外にも直接取材にいらっしゃるとのこと。
そして先日その記事が配信されました。
五輪控えるパリの「不都合な真実」。でこぼこの石畳、階段しかない地下鉄…花の都は「バリアー」だらけ
前半は車いすパラリンピアンの話でいいですね!
後半は、解っていたこととはいえ、改めて取材を受ける難しさを感じました。
記者さんはわざわざ拙宅にいらしてとても丁寧に取材してくださいました。
けれども記事として成立させるための意図や文字数制限などもあり、どうしても日仏比較論的にならざるを得ないようで。
個人的にはことさら日本をネガティヴな引き合いに出したくないですし、パリ市のバリアフリー状況に不満があって下げたい訳でもありません。
とはいえ、わかりやすい批判の方が記事としてのウケはいいのでしょう。
以下はパリ暮らしに慣れすぎてしまったためか、大抵のトラブルには驚きも不満も感じなくなった某日本人によるパリ式バリアフリー観です。
毒にも薬にもならないテキストですがここに供養しておく次第です。
パリ6区に17年、現在はパリ15区に引っ越して6年になります。
車椅子ユーザーですが普段の外出は車を運転するので公共交通機関を利用することはほとんどありません。そのためパラリンピックに向けて市内のアクセス等が改善されているかどうかを実感する機会があまりないのが正直なところです。おそらくいろいろ改善するための工夫や工事をしているとは思いますが。
パリは昔からバリアフリー化は頑張っているのですが、メトロに関してはどうしてもエレベーターを設置することが困難な駅が多いようです。バスは車椅子対応の車両が増えましたが、昇降のための板が日本と異なり電動なため、故障していることもあります。故障していない場合でも、車椅子で乗れるのはせいぜい2人まで、3人以上となると難しそうです。
車椅子にとって最も利用しやすい公共交通機関はトラムですが、カバーしている地域は僅かです。
では自動車で出かけた場合はどうかというと、車椅子用の路駐スペースが空いていて停められればいいのですが、場所が無くて地下駐車場に入る場合は注意が必要です。エレベーターの故障が非常に多いからです。日本では考えられないことですが、1基しかないエレベーターの故障で地上に出られず、為す術なく車に戻り他の駐車場を探さなければならない事態が珍しくありません。
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