29/7/1998

一流と三流の違い

Berc-sur-mer

フランス北部にある海辺の保養地ベルクに行ったときのこと。砂浜がとても広く美しい海岸に臨むこの小さな町に小さな移動サーカス団が来たのでついつい観に行ってみた。ショーが始まる前、テント傍の広場に何頭かのラクダやロバがいて子供達が群がっている。見るとラクダ達の前脚のヒザの皮がみな破れ、傷ついていて痛々しい。後でその理由が判った。このサーカスは広い駐車場スペースにテントを張っているので地面はアスファルトなんだけど、ショーのなかでラクダ達はこの硬い地面にヒザをつかされるのだ。ショーの度にこれではなかなか傷は治らないだろう。結局、期待していたピエロのコスチュームもへなちょこで、辛い労働を強いられているラクダ達だけが印象に残ってしまった。
「サーカスどうだった?」と友人に聞かれ、「一流にはほど遠いけど、まぁ、楽しめたよ」と一応答えると、この友人は笑って「ベルクには一流のサーカス団は来ないよ!」・・・それもそうか。
パリに戻ってすぐ、たまたまテレビでサーカスをやっていた。さすがにテレビ放送されるだけあって、規模も大きいしコスチュームも美しく、ショーも洗練されている。そこへラクダ達が登場し、ピエロを乗せるためにヒザをついた。思わずベルクで会ったラクダ達を思い出し注目すると、なんとこのサーカス団では地面にしっかり砂が敷かれていたのだ! なるほど、これが一流と三流の違いというものか。やっぱり一流がいいよね。

  

Comments (0) フランス 旅行記 Tags: — Kyo ICHIDA @ 1998/07/29 03:27