30/12/2015

南仏への旅

なにしろ引きこもりなので、旅に向いてるタイプじゃあないんです。
正直なところ、家でのんびりしているのが好きな出不精者。テロが起きても気づかないくらい。

一方、ヨメのわびすけは旅行が好きらしい。見知らぬ場所を訪れて、自分にとっては非日常だけど、そこに暮らす人々にとっては日常な暮らしの営みを眺め思いを巡らせるのが好きなのだそうだ。それが何よりの気分転換になるとのこと。

確かにたまには遠くに出掛けて気分を変えるのは良さそうだし、歳とって身体が衰えて旅行しにくくなる前に思い出を増やしておけば、老後のお茶が美味しく飲めるかも。
ちょうど南にはふた組のお友達夫婦が居て、ひと組はもうじきフランス生活を終えて帰国してしまう。
こうしてニースとモナコへ遊びに行くことになったのだった。

けれども十年も前の旅の話なんてそれでなくとも誰も興味ないしニーズもないだろう。
当時仲間うちで旅ブログがちょっと流行っていたこともありすぐに書くつもりだったけれど、旅から戻った直後に親友に不幸な出来事があり、書くタイミングを逃してしまっていた。既にわびすけが絵日記を書いてくれていたし。
なのでこれは自分のための記録だ。なぜ今頃になって昔の旅日記を書くのかは文末に述べたい。

大混乱のオルリー空港

2005年7月1日、金曜日。ダイヤ改正の初日のためオルリー空港は大幅な遅延で混沌としており、不満気な旅行者でごった返していた。
そして待てど暮らせど車イス搭乗のための係の人が来ない。いよいよヤバいのではと職員さんに伝え、その後呑気な感じでやって来た係員さんに連れられて結局乗れたものの最終搭乗になり他のお客さんを待たせるような形になってしまった。スチュワーデスさんは搭乗口でニコリともせず仁王立ち。こ、コワい…。
結局飛行機は1時間半遅れでニースに飛んだけど、その後ドイツでもスペインでもポルトガルでも車で行くようになったのはこのときのエールフランスの対応がちょっとトラウマだったせいかも。

コート・ダジュール空港でひと悶着

ニースのコート・ダジュール空港はフランスで三番目に利用客の多い空港らしい。
さっそく予約しておいたレンタカーを借りる手続きへ。係のお兄さんに訊かれた携帯番号をわびすけが答えていると、中年夫婦が割り込んできて何やら不満気に英語で捲したてる。オルリーでも見かけた夫婦だった。飛行機も遅れたしイライラしていたのだろう。
「今こちらのお客様の手続きをしてますので!」と毅然と突っぱねるお兄さん。これに中年夫婦がキレて口論になり怒って立ち去ったが、お兄さんはとても親切だったので出だしでつまずいた旅の気分がほぐれる。

このとき借りたメルセデスの小型車Aクラスがとても運転しやすかったので、翌年同じモデルの中古車を探したのだった。

ホテル選びは超だいじ

普段引きこもりとはいえ、一旦旅に出るとなったら下調べと予約は僕の役割。ネット検索で予約しておいたバリアフリー対応の空港からほど近い小ぢんまりしたホテルへ。ところがバリアフリーの客室は既に先客で埋まっているという。
「エレベーターもあるし、車イスさえ入れれば普通の部屋でいいですよ」と拘らずチェックイン。
フランスのホテルの御多分に洩れず部屋は小さめだけど眠るだけだし大丈夫そうだった。

「ところでマリンランドに行きたいんですが、ここからどのくらいですかね?」
マリンランドはヨーロッパ最大のプールのある水族館で映画『グラン・ブルー』の撮影にも使われたらしい。イルカ好きとしては見逃せない。
「車で20分くらいだけど、回るのに丸一日かかるよ」とフロントのお兄さん。
「え!そんなに広いの?」
「そりゃもう。明日にしては?」
「まぁ陽も長いし行ってみますよ」まだ午後3時くらいだし。

『グラン・ブルー』の撮影にも使われたマリンランド

ホテルのお兄さんに行き方を教わってドライブするもなかなか見つからず、通り過ぎちゃってないよね??そんなに大きな水族館なら道から見えるだろうしとか言ってるうちに無事到着。結論から言えば隣接する遊園地部分はスルーして充分全てのアトラクションを回ることができたしディナーもとれたので初日に行って正解だった。非日常テンション急上昇!

« Orques antibes » par Andreas Ahrens — https://www.flickr.com/photos/eiolos/11350759693. Sous licence CC BY 2.0 via Wikimedia Commons - https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Orques_antibes.jpg#/media/File:Orques_antibes.jpg

Marinelandはこうゆう所です。Wikiより。
« Orques antibes » par Andreas Ahrens — https://www.flickr.com/photos/eiolos/11350759693. Sous licence CC BY 2.0 via Wikimedia Commons – https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Orques_antibes.jpg#/media/File:Orques_antibes.jpg

ダイナミックなシャチのショーも凄かったしユーモラスなアシカのショーもいいけど、ここはやはりなんといってもイルカでしょう。イルカと人の織りなす美技の数々に酔いしれた。
ショーの後、間近でイルカを見られるらしく子供たちがプール側に集まっていた。近寄ってみると一頭のイルカが立泳ぎのような態勢でゆっくりと上下している。絶好のシャッターチャンスだけど辺りは日が暮れてきてうまく撮れない。イルカはずっとゆっくり上下してくれている。きっとお客さんが居る間はそうし続けるように訓練されているのだろう、これ以上イルカくんに残業させちゃあいけないと立ち去った。

大満足してホテルに戻り寝ようとするも、ホテル内でディスコをやってるらしくて音がドンスカドンスカ響いてくる。ちょっと笑っちゃうくらいうるさかったけれど疲れで眠りに落ちた。

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