15/10/2024

パット・メセニー パリ公演の思い出

現在ヨーロッパツアー中のパット・メセニー、オランピア公演を観ることができました。
思い起こせば前回メセニーを観たのもここオランピア劇場でオーケストリオンでした。

Pat Metheny Olympia Pat Metheny Olympia

画家の釘町彰さんがプレゼントして下さったこのコンサートのチケットは、驚きと感動の最前列どセン!
芸術祭のために日本へ行かなければならなくなったから、ということだったのですが、釘町さんはメセニーがパリ公演に来る度に全日程通うほどなのできっと楽しみにされていたことでしょうに⋯⋯この御恩は忘れません。

そういえば以前、釘町さんと知り合ってお互いメセニーファンということが判り、当時出たアルバム『From This Place』のコンサートに行きましょう!ってなって。オーケストラと共演するということで、とっても楽しみにしていたんです。
そうしたら、コロナ禍でキャンセルになってしまいました。2020年の夏でした。
ロックダウンももうかなり前のことのような気さえしますが、こうしてまたコンサートを楽しめるようになって良かったです。

そして開演。オープニングがいきなりPat Metheny Group時代からの曲のメドレーで、Better Days Ahead、Phase Dance、Minuanoと続くうち、学生時代から観てきた数々のライブにまつわる記憶やライル・メイズがもう居ないこと等がないまぜになって、開始3分も経たずに涙が出ました。早っ。

パット・メセニーを知ったのは15歳のとき中学を卒業してすぐに通ったお茶の水美術学院の春期講習高校生デッサンコースで知り合った一学年上の都立芸術高校の池くんがきっかけでした。
同じくお茶美で知り合って一緒にバンドを組んだ遠山がくれたメセニーのライブ告知ポスターを部屋に貼っていたものです。『American Garage』の頃でした。

その後も超名盤を連発しながら、ベーシストが替わり、ドラマーが替わり、音楽性がどんどん進化していきましたよね。
『First Circle』が出て、こちらも美大生になりました

そして2年後ひょんなことから留学することになるパリで、初めてCDを買いました。自分のためではなく、再会した幼馴染がCDプレーヤー付きのステレオコンポを持っていたので『Offramp』と『Travels』をプレゼントしたら彼もメセニーの大ファンになりました。
初めてCDで聴くPat Metheny Groupの音は凄く良くて、今でもBarcaroleを聴くとパリ15区の幼馴染の部屋の情景が蘇ります。

思い起こせば初めてメセニーのコンサートを観たのもその頃のパリでした。会場はPalais des Sports、このライブは衝撃的でした。それまで、ライブ演奏はどうしてもレコードよりは劣るというようなイメージを持っていたんです。ところがPat Metheny Groupはコンサートの演奏も音質も音圧もレコーディングされたアルバムを遥かに凌駕していて。
「次のアルバムに収録予定の曲だよ」と言って演奏されたMinuanoにノックアウトされました。
翌年もZénithにパリ公演を観に行ったものです。

帰国してからもPat Metheny Groupが来日するとなるべくコンサートに足を運んでいました。

その後また思いがけずパリで暮らすようになり現在に至りますが、最後に観たPat Metheny Group名義でのコンサートは『The Way Up』のツアー、2005年のことでした。
それ以降はUNITY BANDやソロ名義のライブを楽しみました。
様々な人生の節目ごとに、メセニーの音楽が彩りを与えてくれていました。

そして今回。メセニーひとりだけなのでしっとり落ち着いたコンサートになるかと思いきや、終盤にサプライズがあってある意味ド派手でした!
なんとオーケストリオンを持ち込んでいたのです。
奥さんも「あの子たち(オーケストリオンのことw)かわいい〜」と大喜びでした。
ローランドG303も一曲弾いたし、メセニーのギターコレクションが大量動員されていました。
ルーパーも使ってて当たり前だけどメチャクチャ巧い!
ビートルズのカバー、Here, There, and Everywhereでメロディを弾き直すようなシーンもありましたが、70歳という年齢を感じさせない名人の域でした。
イパネマの娘のカバーも巨匠の抽象画のよう。

ものすごくサービス精神旺盛な素晴らしいライブでした!
堪能させていただき、ハッピーな余韻が続いています。