今日たまたま見た山田五郎さんの動画で石膏像パジャントの由来を知りました。
パジャントという名称はどうやら日本で間違って付けられたものなんですって。
元は1913年1月25日に東京藝大がルーヴル複製工房から買い入れたBacchante(バッシャント)という像でした。
それがバチアントになり。おそらくカタカナにするときフランス語の発音から乖離したのでしょう。
1957年に初めてこの石膏像が藝大入試に出されたときは、既にパジャントと呼ばれていたそうです。
「バ」の「゛」が「゜」に見えちゃったりとかありそうだし、伝言ゲームみたいに名前が変わっていってしまったんでしょうね。
ではバッシャントとはなんぞや?と思って調べたら、酒の神バッカスの女性信奉者のことだそうで。
どんなキャラ設定かというとこれが凶暴極まりなく、トランス状態で暴力や乱交、自傷したりする狂女たちなのだとか。
えぇ…?ギリシャ神話の穏やかな女神かなにかだと思ってデッサンしてたのに、イメージと違う……。
美術予備校に通って石膏デッサン描いていた人なら誰しもそうですよね。
そう、以前に書きましたが高校に進学せず、御茶の水美術学院の高校生デッサンコースに通い始めていたぼくにとって、パジャントはお馴染みの石膏像のひとつでした。
実はその高校生デッサンコースにパジャントによく似た人がいたんです。
色白でパジャントみたいなほっぺたでいつもニコニコしている黒目がちなひとつ年上の高2の先輩で、パジャントさんと呼んでいました。
ある日、何の気まぐれかパジャントさんが、
「市田くん、パフェ食べに行こうよ」
と声をかけてくれたんです。
「いいですよ」
でもパフェなんて何処で食べるんだろう?と思いながらついて行くと、お茶美から出て左へまっすぐ、御茶ノ水駅の横に東宝パーラーというお店がありました。
「こんなところにパフェ屋さんがあったんだ」
この辺は詳しいつもりだったけど、知っているのは楽器店とか画材店ばかりで、普段行かないタイプのお店は意外と見えていないのでした。
パフェって見た目がとても華やかで、それを嬉しそうに食べるパジャントさんを眺めるのは楽しいひとときでした。
たいして気の利いた会話ができるわけでもないビッコのぼくをどうして誘ってくれたのかはわかりませんが、それ以来、甘いものが苦手なくせにパフェは好きになりました。
そういえばパフェってフランス語のParfait(パル”フェ「完璧」の意)から来ているらしいですね。
その東宝パーラーももうありません。
御茶ノ水駅も周辺もずいぶん様変わりしつつありますね。
そんな取り留めもないことを思い出したのでした。