(この話の続きです)
スポットライトが眩しい、そして凄く暑い。
高一の秋、初めてのライブハウスのステージにぼくたちは立っていた。
緊張で口の中がカラカラに乾く。
中学では始業式と終業式の度に全校生徒の前で演奏してたから人前で音楽をやるのは初めてじゃないのに。
いちばん緊張したのはいつだったっけ?
クラス対抗でリコーダー演奏の指揮をしたとき?
でもあのときは客席に背を向けていたし、緊張で真っ赤になっているクラスメートたちの顔を見てたらなんだか可笑しくなってしまった。
目の前に居たK沢さんから後で「笑ってくれたおかげでちょっと緊張が和らいだ」って言われたっけ。
それとも文化祭でクラシックをアレンジしてドラムを叩いたとき?
あのときも緊張したけれど最初のフィルインでスティック同士がぶつかってしまってハッと我に返り、その後は楽しめたんだった。
でももう中学時代の行事なんかとは全然勝手が違う。
何が違うって、狭いのに音がデカい!
今はモニターやPAスピーカーから出る轟音がグルグル回ってしまってみんなの演奏がよく聴き取れない。
(困った…)
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