実は人は失敗からは学べない、らしい。
それにしても「これがワールドカップ予選でなくてよかった。W杯予選ではもうこんなミスしない」は最悪の言い訳。コンフェデでミスする人間がW杯予選ではミスしないとは考えにくいよ。説得力がなさ過ぎる。昨年W杯でトルコに敗れたミスの教訓も結局生かされなかったし。
奇しくもコロンビアといえば、98年大会でオウンゴールしてしまったディフェンダーが帰国後射殺された国。
ミスは仕方ない、という風潮があるけれどミスした方が負けるのが勝負。確かにフォワードは遥かに数多くのミスをしたけれど、ディフェンダーの一度のミスがもたらす結果は遥かに残酷だという点で、シュートを外すこととは質が違う。
執念の希薄、集中力の欠如、精神的な甘さ……祈るような謙虚な気持ちもなく、日本代表はまるで日本社会そのものの弱点をも代表しているかのよう。
今ジーコ監督を責めてもなぁ。くだらない、そして致命的なミスをした選手を次回は代表に選出しないことで、選手達の緊張感や意識を改革していくように期待したい。
コンフェデ 対フランス戦
コンフェデ 対ニュージーランド戦
そんなわけでコンフェデ開幕戦日記。6/18晴れ。目覚めたら、前日まで落ち着かなかったのが嘘のように「今日は素晴らしい日になる予感」が根拠なくやってきた。 18歳でパリにサッカー修行にやってきた遠藤浩行くん、わびすけとともにまだ人影まばらなSTADE DE FRANCEへ。 パリには約1万人の日本人が住んでいるらしいけど、全員が来たとしてもこのスタジアムは全然いっぱいにならない。日本から応援に駆けつけたたくさんのサポーターとニュージーランドサポーター、それからこどもを連れたサッカー好きのフランス人等で3万6千余りの入場者数。収容人数の約1/3強か。
練習が始まるとニュージーランドチームの予想以上の技術の低さが見て取れた。トラップが大きいし。ラグビーの試合じゃなくて良かった!?
「今日はトルシエさんも来てるんじゃない?」なんて言ってたらやっぱり電光掲示板のスクリーンに映されていた。
応援の雰囲気はまるで親善試合のように緊張感がなかったけれど、やはり勝ち試合は格別。 中村俊輔選手の2ゴールは背番号10のユニフォームを着て応援する僕まで何だか誇らしい気持ちにさせてくれたし中田英寿選手のミドルシュートはローマ時代のユベントス戦を思い出させる美しいゴール。フランスのこどもたちも「NAKATA, NAKATA!」と歓声を上げていて微笑ましかった。
日本が3点とると後ろにいたこどもたちが「1,2,3−0!(ェアン,ェドゥー,トロ”ワッゼーロ”ッ!)」と懐かしい節まわしで歌い出す。5年前のワールドカップ・フランス大会の決勝以来流行ったフレーズなんだけどこれを歌える機会が来るとはラッキー!
力の差を考えれば日本ももっと得点できそうだったし、コロンビアやフランスがこの調子のニュージーランドと戦えば5−0や7−0くらいにはなって、日本の3得点の評価は下がってしまうかもしれない。けれど個人的には「はぁ、そんなの歌ってみたいっす」と羨ましく思っていたスコアなのでこの際よしとしよう。
スタジアムを後にするべくエレベーターに乗ると案内のお姉さんが「どっちが勝ったの?」「こっちさ!」「スコアは?」「3−0!」「まぁ!おめでとう!」「ありがとう!」あれ?このお姉さん僕たちが客席に入ったときもエレベーターに乗っていた。ひょっとしてずっとエレベーターの中に!?たいへんな仕事だなぁ…。
試合途中で合流した、フランスへ帰国したもののこんどは「やっぱり日本の方が仕事がしやすい」と悩むケイくん、ヨージ・ヤマモトで働く玄くんらと5人で近くのサッカー・カフェへ。晩餐しながら大画面でフランス対コロンビアを観戦。さっき見た試合とはスピードも激しさも別次元。優勝候補のフランスが辛勝したものの、コロンビアに勝つのも簡単ではなさそうだ。
帰り道、ユニフォームを着ている僕たちにまた「どっちが勝ったの?」と声がかかり、エレベーターとまったく同じ会話を繰返す。「尋かれると気持ちいいっすね!」と玄くん。フランスを応援するという画家のお父さんと喧嘩になったそうだ。「そんなこと言う奴がいるから日本はいつまでたっても駄目なんですよっ!」と爽やかに笑う。
次の試合まで束の間、3−0の満足をかみしめよう。
誰?
6月といえばイベント満載、FETE DE LA MUSIQUE(毎年夏至に行われる音楽のお祭り)に今年はコンフェデレーションズ・カップもある。さっそくFNACへチケットを買いに。
係のご婦人はニコニコしながら「フランス対日本戦?」と聞いてくる。「いえいえ」と、6/18 STADE DE FRANCE ニュージーランド対日本戦のチケットを購入。本当はSAINT-ETIENNEで6/20・6/22に行われる対フランス戦と対コロンビア戦も泊まりがけで観に行きたいところだけど、よりによってその中1日が音楽祭当日であるため断念。ST ETIENNE遠いし…。
まぁ今回日本代表に過度の期待は禁物、妥当な試合の選択かも?と自分に言い聞かせてみたり。
というわけでFETE DE LA MUSIQUE、6/21なんだけど今年は土曜なので日もいい。そういえば去年の音楽祭で不思議なことがあった。
演奏しながらふと気づくと僕たちのライブを熱心に撮影してくれている日本人と思しき男性がいて、一脚にカメラを着けて群集の上から撮ったりと凝ったことをしてくれている。(メンバーの誰かの友だちかな?)
後日ヤンが
「あのときのビデオ見せてよ!」と言うので
「ないよ、そんなの」と答えると
「だってkyoの友だちが撮ってくれてたじゃん!?」
「えっ?ヤンの友だちじゃなかったんかい!?」
結局誰の知り合いでもなかったということが判明…。
そんなわけであのときビデオを撮ってくださったかた、もしこれを見たら(ありそうもない話ですが)老後の楽しみに是非ダビングさせてください。
それから今年はオデオンの裏手かサンジェルマン通り界隈 (3 RUE DE L’EPERON 75006 PARIS) で演奏するので、10番中村のユニフォームの車椅子ドラマーを見つけたら(ないとは思いますが)声をかけてくれるとか。
あ、演奏はへなちょこです。念のため。
アメリカ
『アメリカ』と言えば、印象的な歌詞と相まってあるシチュエーションの中で特別な輝きを放つポール・サイモンの名曲。
911のニューヨークのテロで亡くなった消防士とその遺族のためにポール・マッカートニー
の呼びかけで開催された”The Concert for New York City“で、最初に登場したデビッド・ボウイがステージ中央に座り込み、おもちゃのキーボードの自動伴奏で歌った『アメリカ』には思わず目頭が熱くなった。英国人であるボウイがオープニングにこの曲を選んだことが興味深いし拍手を送りたい。そういえば昔イエスもこの曲をカバーしていたっけ。
この曲は映画『あの頃、ペニーレインと』の中でも効果的に使われている。
『アメリカ』からエンディングの『Feel Flows』までとにかく選曲が凄くいい。
ちなみにこの映画をこれから観る人には(もう観た人にも)監督が再編集したロングバージョン『Untitled』(『あの頃、ペニーレインと デラックス・ダブル・フィーチャーズ』DVDに収録)がお薦め。
ディレクターズ・カットにありがちな未公開シーンを追加しました、というだけのものでなく全編に渡って丁寧に再編集され劇場公開版よりも遥かにいい作品になってます。